Kawasaki Photogallery
独特の雰囲気を持つ川崎さんの写真ですが、どんなふうに撮影しているのか聞いて見ました。
Q: 川崎さんの写真には独特の雰囲気がありますよね。これを写真の手法的に、私なりに表現すると「被写体の切り取り方」、「独特のフォーカスの世界」、そして「印象的な色の表現」になるんじゃないかな思います。 実際に被写体に向かったときに「これはこういう写真になるだろうということが最初から分かっている」、もしくは「写真の出来上がりが最初から見えている」のですか。
A: そういわれると説明に困ってしまうのですが・・・ 実際に写真を撮るときには、たとえば街中でこれはと思うものを見つけたときに、とにかくファインダーをのぞいて後は感覚でシャッターを押しています。右の写真なんだか分かります。実は街中で見かけた車のヘッドランプの興味を感じて取ったものなんですよ。
あまり良い写真を撮ろうとか、こんな効果を作ろうとは意識していません。いいなーと思うものを写真にしているというだけなのですが。 精神論になってしまうんですが、私の思いが被写体に乗り移ってくれることを念じてシャッターを押してはいます。
Q: 別の表現でいいますね。 川崎さんの写真には、実際にあるものをそのまま忠実に写すのではなく、「そのままでは見えていないもの」、「見過ごしてしまうも」のを見せる、可視化するという種類のものと、実際の被写体は単に材料にすぎず、いわば料理の材料みたいなもので、これを加工して独自の世界を創造するという面とがあると思うのですが。 前者のほうですが、たとえば「Flower」にある写真をみると、花を見る視点、角度、切り取り方にに特徴があると思うのです。そんなことはこともファインダーを見ながら考えるのですか。
A: そうですね・・・ 意識していることは、さりげなく、そして技巧的に走らないように気をつけているくらいですね。実際の場ではファインダーを見ながら自分でこれはいいなーと思うときにシャッターを押しているというだけなんです。ファインダーをのぞきながら無意識にシャッターを切っているということですね。
Q: では後者のほうですが、たとえば「Blue」にある花の写真ですが、これは実際にこんな風に見えるわけではなく、こんな色に見せているわけですよね? こうすればこうなる、こんな効果がでるというようなことは、どんなときに気がつくのですか。
A: ある程度は、こんな風にならないかなと思うのですが、実際には試行錯誤の面が多いですね。
Q: 同じく「Blue」にある滝の写真なんかは、明らかに色に関して変えていると思うのですが、撮るときに既にこういう画像になると意識しているのですか。どうしたらあんなふうな色になるのですか。
A: フィルムの工夫が多いですね。室内用フィルムを外で使うなどということよくします。あとは露出を変えたり、ASA感度を変えたりしています。たまにはフィルターを使こともありますね。
Q:ちょっと見るとCGで加工したんじゃないか、色を変えたんじゃないかなどと思ってしまうのですが、そういうことはしないのですか。
A:私はディジタルの世界はまったくだめで、CGなどは思いもつかないです。
Q:最後になりますが、お好きな写真家はいらっしゃいますか。
A:日本では森山大道さんが好きですね。海外ではカルティエ・ブレッソンが素晴らしいと思います。
A:有難うございました。次回は川崎さんの撮影機材についてお聞きする予定です。